月額料金が安いことで注目を集めている格安スマホですが、通信速度の遅さなどが気になり、なかなか買い替えに踏み切れない人もいるのではないでしょうか。
ここでは、格安スマホに乗り換える前に知っておきたい、乗り換え先の最適な選び方について解説します。
更新日:2023.7.21
「格安スマホ」と呼ばれるものは、一般的に2種類あると言われています。
ひとつは、スマホの本体自体の価格が安いものを「格安スマホ」と呼ぶことがあります。価格が安い理由はさまざまありますが、いずれにせよスマホメーカーが最先端の機能を搭載した新発売のスマホよりずっと安い本体価格で販売されているスマホのことを「格安スマホ」と言います。
一方、大手携帯電話会社よりも格安の月額利用料金で使える携帯電話サービスのことも「格安スマホ」と呼ばれます。これは、月額料金が低価格な「格安SIM」を使うためスマホを安価で利用できるのです。つまり、スマホ本体の価格などを含まず、低価格な月額利用料金で利用できる携帯電話サービスのことを「格安スマホ」と呼んでいるのです。
本記事では後者の「格安スマホ」のプランについて解説を進めていきます。
格安スマホには、大手携帯電話会社のスマホよりも毎月の料金を低額にできるという大きなメリットがあります。しかし、いくつかのデメリットも存在します。
格安スマホは、一般的に「MVNO(格安SIM提供会社)」が提供しています(詳しくはこちらを参考にしてください)。MVNOは、コストの削減のために、手続きやサポートなどをオンラインにすることで人件費を削減し、実店舗を減らす傾向にあります。
一部のMVNOは実店舗を運営していますが、そもそも実店舗が少ないため、乗り換えや契約についての相談や設定方法の問い合わせなどが難しくなってしまうのです。
格安スマホの設定や操作について不明なことがある場合に、ネットを使って自分で解決する必要があるところが、格安スマホのデメリットと言えるでしょう。
大手携帯電話会社でスマホを契約すると、いわゆる「キャリアメール」が使え、それぞれの会社で独自のメールアドレス(○○@docomo.ne.jp、○○@au.com、○○@softbank.ne.jpなど)を利用できます。
ですが、格安スマホにすると一部の格安スマホを除きほとんどはキャリアメールが使えなくなります。最近ではスマホでのメッセージのやりとりはLINEのようなメッセージアプリが主流となっていますが、いまだにキャリアメールが重要、という人にとってはデメリットとなるでしょう。
格安スマホのデメリットのひとつとして、通信速度が安定しないことも挙げられます。格安スマホは、MVNOが大手携帯電話会社の通信回線を借りて提供している通信サービスです。基本的には借りている大手キャリアの電波エリアや最大通信速度と同等で利用できますが、利用ユーザーが集中する時間帯(昼休み、通勤通学時など)には通信が不安定になったり、通信速度が低下するといったことが起こる可能性があります。
またコストを抑えるため、あまり多くの回線を借りずにサービスを提供しているMVNOもあります。しかし、通信品質は、出資元となる親会社がいくつ回線を借りているかと、それに対して利用ユーザーはどれくらいいるのかで決まりますので、借りている回線が少なく、かつ利用ユーザーが多いほど通信速度は遅くなり、不安定になる可能性が高くなります。
格安スマホの場合、契約が完了すると、マニュアルとSIMカードが送られてくるため、その後の初期設定は自分で行わなければなりません。スマホについて一般的な知識を持っている人なら、問題なく初期設定を行えると思いますが、スマホやデジタル機器が苦手な人にとってはハードルが高く、デメリットとなるかもしれません。
格安スマホはデータ通信をメインにサービス提供しているため、音声通話については別契約やオプション契約となることが多いです。基本的に音声通話については追加料金を支払う意識を持っていたほうがいいでしょう。
また大手携帯電話会社で提供されていた「通話し放題」についても、オプション契約をして追加料金を支払うことがほとんどです。ですので格安スマホに限ったことではないですが、スマホを使って頻繁に音声通話をしたい場合、通話料金も考慮した上で月額利用料金が安くなるプランのある携帯電話会社を見つけるといいでしょう。
大手携帯電話会社でスマホを利用する場合、回線(SIM)の契約と同時にスマホ端末を購入することが多いです。大手携帯電話会社には多数のスマホメーカーからさまざまな機種が供給されていて、自分好みの端末を選んで契約と同時に購入することができます。
しかし、格安スマホの場合、同時購入できる機種は比較的に多くありません。格安スマホに乗り換えるタイミングで新しい端末を選択しようと思っている人にとっては、選択できる端末の種類が少ないことがデメリットになるかもしれません。
格安スマホでは、契約時に本人名義のクレジットカードの提示が求められ、毎月の利用料金をクレジットカードで支払うことがほとんどです。そのため、クレジットカードを持っていない人や未成年の人は契約しにくいこともあります。また現金主義の人にとっても、この点がデメリットになるかもしれません。
通信速度について不安を抱えている人は、大手携帯電話会社が提供している「格安ブランド」を検討してみるのもいいかもしれません。
大手携帯電話会社では、MVNOの格安スマホと遜色ない価格設定で、格安ブランドを提供しています。ドコモなら「ahamo」、auなら「povo」、ソフトバンクなら「LINEMO」「Y!mobile」が該当します。
上述した格安スマホのデメリットを踏まえながら、MVNOの格安スマホや大手携帯電話会社の格安ブランドを選択するときのポイントについて解説しましょう。
まず、通信回線の速度や安定性を重視する人なら、やはり大手携帯電話会社の通信回線をそのまま利用している格安ブランドを選択するのがいいでしょう。特に外出先、Wi-Fiなどの利用を期待できない場所で通信することが多い人には向いていると言えます。
逆に、Wi-Fi環境で使うことが多いという人なら、通信品質の善し悪しはあまり気にしなくてもいいかもしれません。MVNOの提供する格安スマホを選択しても問題が起こることは多くないでしょう。
料金プランを重視する人は、まず自分が毎月どれほどのデータ量を消費しているのかを把握する必要があるでしょう。
格安スマホの料金プランは、毎月利用できるデータ通信量に応じて設定される場合が多く、データ通信量が多ければ多いほど月額料金が高くなります。自分の使い方に応じてプランを選択するのが、賢い選択方法です。
MVNOによっては、かなり細かくデータ量を設定してサービスプランを提示していることもあります。
LINEMOでは、メインの料金プラン「スマホプラン」の最大データ容量が20GBで月額基本料が2,728円ですが、もう1つ「ミニプラン」が用意されています。こちらは、最大データ容量が3GBで月額基本料が990円と、あまりデータ通信を利用しない人に適した料金プランとなっています。
さらに格安スマホには、音声通話に関するオプションも用意されています。なお、LINEMOは標準で音声通話可能なプランなので、音声通話は従量制(30秒あたり22円)で利用できます。通話に関するオプションとして、国内通話かけ放題の「通話定額」オプションが月額1,650円で提供されています。また5分以内の国内通話が無料となる「通話準定額」オプションも月額550円で利用できます。これらの通話オプションは「スマホプラン」「ミニプラン」のいずれでも利用可能です。
さらに格安SIMには特徴あるオプションが用意されていることもあります。たとえば、特定のSNSやネットサービスについてデータ通信量の消費がされないオプションがあるため、選択肢のひとつになるでしょう。
LINEMOには「LINEギガフリー」という仕組みが用意されています。追加料金なしで利用でき、LINEアプリからのトーク、音声通話、ビデオ通話に伴う通信で、データの消費量がカウントされないというものです。知り合いとのメッセージのやりとりやビデオ通話でLINEを使う機会が多いなら、選択のポイントとなるでしょう。
格安スマホを提供しているMVNOの資本力についても注意したほうがいいかもしれません。
現在では多数のMVNOが格安スマホを提供している昨今ではありますが、資本力があまり大きくない企業がMVNOを運営する場合、なんらかの原因で経営危機に陥ってしまい突然サービスが終了してしまう可能性もゼロではありません。
また、あまり回線の借用に大きなコストを払っていないMVNOの格安スマホにユーザーが集中することで、回線が混み合いすぎて不便を感じるということもあり得ます。いずれ回線が増強されて使い勝手も改善するでしょうが、一定期間我慢しなければならないのは大きなデメリットとなるでしょう。
その点で言うと、LINEMOは大手携帯電話会社であるソフトバンクが提供しているため、資本力については安心できるでしょう。
格安スマホに乗り換えることにより、料金的なメリットを得られるとともにいくつかのデメリットも受け入れなければなりません。それを理解しながら、MVNOの格安スマホ、もしくは大手携帯電話会社の格安ブランドを選択するかどうかを検討していきましょう。
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