2010年ごろまで、携帯電話会社で購入したガラケーやスマートフォンにはSIMロックがかけられており、他の携帯電話会社の回線が使えないケースが一般的でした。
しかし、SIMロックの解除が義務化された2015年以降、徐々に「SIMフリー」の端末が増え始め、最近ではSIMロックそのものがなくなりつつあります。
このように現在では広く普及しているSIMフリーですが、長年同じ携帯電話会社と契約している方のなかには、「SIMフリーってなに?」「SIMフリーになって、どう変わったの?」などと感じている方も少なくないでしょう。
そこで今回は、SIMフリーの基礎知識や、SIMフリーにすることのメリット・デメリットなどについて解説していきます。
更新日:2021.12.24
スマートフォンの購入時や機種変更時、回線契約時以外ではほぼ目にすることがないSIMカード。
普段からスマートフォンを使っている方でも、「SIMカードについて詳しくは知らない」という方も多いでしょう。
まずは、SIMカードの概要や種類について解説します。
「SIMカード」とは、加入者を特定するための契約者情報が記録されたチップが付いたICカードのことです。
SIMカードをスマートフォンやタブレットに差し込むことで、通話やモバイルデータ通信ができるようになります。
機種変更時や回線変更時以外では、基本的にSIMカードを取り出すことがありません。
そのため見かける機会は少ないですが、通信端末を使ううえでは欠かせないパーツです。
SIMカードには、サイズや機能によっていくつかの種類があります。
間違ったものを選んでしまうと、「サイズが合わないので使えない」「思っていた使い方ができない」など失敗の原因となるため、あらかじめ確認しておきましょう。
SIMカードは、サイズによって大きく「標準SIM」「microSIM」「nanoSIM」の3つに分けられます。
現在は最も小さいnanoSIMが主流で、やや古い中古の端末ではmicroSIMが使われていることもあります。
SIMカードのサイズが合っていなければ、端末のカードスロットに入らないので使うことができません。
スマートフォンやSIMカードを購入する際は、それぞれのサイズが対応しているかどうか事前の確認が必要です。
一部携帯電話会社では、切り取り方によって利用する端末にサイズを合わせられる「マルチSIM」が採用されています。
また、最新のスマートフォンでは「eSIM(イーシム)」と呼ばれるスマートフォン内蔵型のSIMを採用している端末も発売されています。
SIMカードはサイズだけでなく、利用できる機能別にも「音声SIM」「データSIM」「データSIM(SMS付き)の3種類に分けられます。
SIMカードの種類によって月額料金も異なるため、使い方と料金を考えたうえで選ぶようにしましょう。
それぞれのSIMで使える機能は以下の通りです。
・音声通話SIM
音声通話SIMでは、音声通話(電話)、モバイルデータ通信、SMS(ショートメッセージサービス)が使用可能です。 |
・データSIM
データSIMでは、モバイルデータ通信のみ使用可能です。 |
・データSIM(SMS付き)
データSIM(SMS付き)では、モバイルデータ通信とSMSが使用可能です。 |
続いてはSIMロック端末とSIMフリー端末の違いなど、SIMフリーの基礎知識について押さえておきましょう。
「SIMロック」とは、スマートフォンを購入した携帯電話会社以外の回線が使えないように制限(ロック)をかけるシステムです。
端末の不正転売などを防ぐために実施され、2015年にSIMロックの解除が義務化されるまではスタンダードなシステムでした。
2021年10月1日以降に発売される端末では原則としてSIMロックが撤廃されるほか、それ以前に発売されたスマートフォンでも各携帯電話会社で発表されている対応端末であれば、SIMロックの解除が可能です。
SIMフリーのスマートフォンならどの回線でも使うことができるため、契約する携帯電話会社を自由に選べるメリットがあります。
最近ではスタンダードになってきたSIMフリーですが、どのようなメリット・デメリットがあるのか確認しておきましょう。
SIMロックがかかっているスマートフォンは、端末が回線に対応していなければならない関係で、選べるSIMが限られてしまいます。
そのため、「おトクな格安SIMを見つけたのに、契約ができない」というケースも……。
SIMフリーのスマートフォンなら回線が限定されないため、格安SIMを含めたあらゆる携帯電話会社を選択可能です。
「よりおトクにスマートフォンを使いたい」「自分に合ったプランを選んで契約したい」という方は、SIMフリーのスマートフォンを選ぶと良いでしょう。
SIMフリーのスマートフォンは多くの格安SIMにも対応しているので、月々の料金をより安く抑えることが可能です。
1台のスマートフォンにかかる料金が安くなれば、「2台持ち」も難しくはありません。
「用途で使い分けたい」「子ども用にもう1台スマホが欲しい」という方は、SIMフリースマートフォン+格安SIMで2台持ちを検討してみてはいかがでしょうか。
海外でスマートフォンを使用する際は、その国の回線に対応したSIMカードが必要です。
しかし、SIMロックがかかっている端末では、日本国内の特定の回線にしか対応していないため、SIMカードを入れ替えたとしても使うことができません。
SIMフリーのスマートフォンであれば、現地調達のSIMカードでも問題なく使えます。
海外への旅行や出張などが多い方は、SIMフリーのスマートフォンを1台持っておくと便利でしょう。
携帯電話会社でスマートフォンを購入するのとは違い、中古製品や海外メーカーなどさまざまな端末が選べるのもSIMフリーの魅力です。
使い方や欲しい機能など、自分にピッタリのスマートフォンを見つけることができるでしょう。
「今まで妥協してスマートフォンを選んでいた」という方は、SIMフリーのスマートフォンを検討してみてはいかがでしょうか。
日本国内では、総務省の許認可を受けた「技適マーク」のあるスマートフォンしか使うことができません。
日本のショップで端末を購入するならそこまで気にする必要はありませんが、海外の店舗やウェブページなどで購入する際はチェックすることが求められます。
スマートフォンで通信を行うには、そのスマートフォン端末が、契約する回線の周波数帯(バンド)に対応していなければなりません。
周波数帯が対応していないと、通信に不具合が生じたり通信ができなかったりするため注意が必要です。
通信に使用する周波数帯は回線ごとに異なります。
購入予定のSIMフリースマートフォンが契約する回線の周波数帯に対応しているか、事前に確認しておきましょう。
最近のスマートフォンでは「おサイフケータイ」や「緊急地震速報」などに対応した端末も多くありますが、中古の海外メーカー端末やマイナーなメーカーの端末などでは、日本独自の機能に対応していないことがあります。
「機能面にこだわりたい!」という方は、購入前にしっかりと端末のスペックをチェックしておく必要があります。
大手携帯電話会社などでスマートフォンを購入した場合、不具合が発生したり故障してしまったりしても、キャリアショップなどで対応してくれるケースが多いでしょう。
しかし、SIMフリーのスマートフォンでは、基本的に端末を発売しているメーカーへの問い合わせが必要です。
また、「端末購入時の割引がない」「買い替え時に下取りサービスが受けられない」「実店舗がない場合は対面でのサポートが受けられない」など、サポート面で不安を感じることがあるかもしれません。
スマートフォンを携帯電話会社から購入していた方の中には、「SIMフリーのスマートフォンをどこで買えばいいかわからない」という方もいるでしょう。
そこで、SIMフリーのスマートフォンを手に入れる方法をいくつかご紹介します。
現在SIMロックがかかっているスマートフォンを使っているのであれば、端末を購入した携帯電話会社でSIMロックを解除してもらうことが可能です。
ただし、SIMロック解除対象の端末であること、購入から一定期間経過していること、利用料金を滞納していないことなどの条件があります。
まずは携帯電話会社に確認してみましょう。
SIMロックを解除するには、インターネット経由かキャリアショップで申し込む必要があります。
ショップでSIMロックを解除する場合は、3,000円程度の手数料がかかることを想定しておきましょう。
SIMフリーが普及している現在では、家電量販店、スマートフォンショップ、スマートフォンを取り扱う各メーカーなどでSIMフリーのスマートフォンを購入することができます。
また、2021年10月1日以降に発売される端末には原則としてSIMロックをかけることが禁止されたため、これから携帯電話会社でスマートフォンを購入するのであれば、それは基本的にはSIMフリー端末ということになります。
「できるだけ安くSIMフリーのスマートフォンを手に入れたい」という方は、中古の端末を扱っているショップをチェックしてみましょう。
最近では、中古の端末でもSIMロック解除済みのものが多くなっています。
SIMフリーのスマートフォンはさまざまなお店で手に入れられますが、選択肢が多くなればなるほど端末選びに迷ってしまうものです。
そういった方のために、SIMフリーのスマートフォンを選ぶポイントを紹介します。
スマートフォンを購入するうえでどうしても気になるのが、本体の価格です。
最新端末や機能が優れたものは10万円を超えるなど、高額になることも珍しくありません。
しかし、スマートフォンは日常的に使うアイテムなだけに、安さだけで選んでしまうと失敗のリスクが高まります。
まずは、大まかに予算を決めてから機能面と照らし合わせて選ぶようにしましょう。
価格を抑えたいのであれば、中古のスマートフォンを選ぶのも一つの手です。
ストレージはデータ保存領域のことで、ストレージ容量はスマートフォンに保存できるデータの量を表します。
ストレージ容量が大きければ、より多くの写真・動画・アプリなどを保存することが可能です。
最近では高性能なカメラやアプリが増えていることから、それぞれのデータ容量が大きくなっているため、ストレージ容量が小さいと使いにくさを感じることも……。
ただし、ストレージ容量が大きい端末は価格も高くなる傾向にあります。
自分がどれだけのデータを保存するかなど、使い方に合わせて選ぶことが大切です。
また、あわせてクラウドストレージの活用を考えておくのも良いでしょう。
カメラの性能や補正機能、バッテリー性能やサポート機能、特定の使用でパフォーマンスを上げるブースト機能、操作性の快適度など、端末によって性能や搭載機能は大きく異なります。
ある程度候補を絞ったら、自分が求めている機能が備わっているかなど、細かな性能や独自の機能をチェックしてみましょう。
これまでの主流は4Gによる通信でしたが、今後はますます、より高速で大容量の通信が可能な5Gへと本格的に移行していくことが予想されます。
これからスマートフォンを購入するのであれば、5Gに対応しているかどうかも選択するうえで重要なポイントとなるでしょう。
SIMフリーのスマートフォンは端末や回線の選択肢が豊富で、海外に行く際も余計な手間がかからないなどさまざまなメリットがあります。
また、SIMロックが原則禁止されたこともあり、今日ではSIMフリーがスタンダードになりつつあります。
もしこれからスマートフォンの購入や機種変更、携帯電話会社の乗り換えなどをするのであれば、SIMフリーの端末やSIMロックの解除を検討してみてはいかがでしょうか。
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